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石橋財団 ブリヂストン美術館
石橋財団
ブリヂストン美術館
〒104-0031 東京都中央区京橋 1-10-1


Postwar Abstract Painting in France and Art Informel

20世紀フランス絵画の挑戦 アンフォルメルとはか?

モネ、セザンヌ、ピカソを超えて

印象主義やエコール・ド・パリの後、フランス絵画はいったいどうなったのでしょうか?

モネ、セザンヌ、ピカソらによって19世紀末から20世紀前半に近代絵画の黄金時代を迎えたパリでしたが、その後、両大戦間にシュルレアリスムという特異な流派は生まれたものの、以後その中心はアメリカ合衆国に移ってしまった、としばしば説明されます。では、この後、フランス絵画はどうなってしまったのでしょうか?
第二次世界大戦中、国土の北半分が戦場となった後、フランス美術は荒廃の中から全てを立て直さなければなりませんでした。…


会期: 2011 4/29(金) 〜 7/6(水) 展覧会は終了しました。
併設:コレクション展示
※モネ、ルノワール、セザンヌ、ピカソなど収蔵品の代表作も一緒にご覧いただけます。
開館時間:火〜日、祝 10:00〜18:00
休館日:月曜日
※最新情報はHPかハローダイヤルでご確認ください。
会場:
石橋財団 ブリヂストン美術館



画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

「アンフォルメルとは何か?」展

20世紀フランス絵画の挑戦 「アンフォルメルとは何か?
2011 4/28 プレス内覧会: ブリヂストン美術館


「アンフォルメルとは何か?」 ―20世紀フランス絵画の挑戦
第二次大戦後のパリにおいて、ジャン・フォートリエやヴォルスは厚塗の画面に大胆な筆触をほどこした絵画を描き、ジャン・デュビュッフェもまた壁面を思わせる粗い下地に落書きするかのように掻き削った、新たな抽象絵画の試みを始めました。
美術評論家のミシェル・タピエは、彼ら3人を先駆とする奔放な絵画をフランス語で 「不定形なるもの」 を意味する 「アンフォルメル」 という名前で呼びました。これは画面の物質感と流動的な筆の動きによって、不定形な生命観を表出させる芸術を意味します。タピエは1951年に 「激情の対決」 展を、つづいて 「アンフォルメルの意味するもの」 展を開催してアンフォルメルを芸術運動として推進しました。彼らはそれまで信じられてきた芸術の美学をいったん放棄し、「もうひとつの芸術」(タピエ)の創造を試み、それまでの抽象絵画が与えてきた構成的、幾何学的なイメージを脱却し、理性ではとらえられない意識化の心の状態から生み出されるものの表現を試みました。


本展は、戦後フランスにおいて抽象芸術が興隆する過程を追いながら、一つの芸術運動としての 「アンフォルメルとは何か?」 を改めて検証するとともに、その成果がその後の日欧の美術の動向にいかなる影響を与えたかを探ります。

【展示概要】 ―「PRESS RELEASE」 及び 「アンフォルメルとは何か?」 カタログの本文より要約して掲載しています。―

第二次大戦後のパリで起こった前衛的絵画運動「アンフォルメル」。フランス語で「非定形なるもの」を意味するこの言葉は、1950年に批評家ミシェル・タピエによって戦後のフランスに胎動する新たな非具象的な絵画として提唱されました。この動向を担ったのはフォートリエ、ヴォルス、デュビュッフェ、ミショー、スーラージュといった作家たち。加えて当時よりパリにいた中国のザオ・ウーキー、日本の堂本尚郎、今井俊満などもこれにかかわりました。戦後フランスにおいて、モネ、セザンヌ、ピカソを超えた新しい絵画の創造を目指した画家たちによる、約100点の作品のご紹介です。

第1章 抽象への道

第1章 抽象への道-19世紀後半、印象派の時代から20世紀前半新しい抽象絵画の登場を準備した画家たちです。
20世紀初頭、マティスやヴラマンクによるフォーヴィスムは印象派の解放した色彩を感覚的に大胆にうたいあげ、一方でピカソとブラックのキュビスムはセザンヌが追求した自然の中の基本的な形態を知的に追求しました。それは抽象の写実的再現ではなく、事物の本質や心象を点・線・色などで表現しようとする絵画の試みでした。
<主な出展作家>
モネ、セザンヌ、カンディンスキー、クレー、ピカソ、レジェ


第2章 「不定形」な絵画の登場

第2章 「不定形」な絵画の登場-批評家ミシェル・タピエは、抽象的で表現主義的な動向を 「不定形(アンフォルメル)の芸術」 という用語をつくって理論づけた。
第二次世界大戦後のパリ。ジャン・フォートリエやヴォルスは厚塗の画面に大胆な筆触を施した絵画を描き、ジャン・デュビュッフェもまた壁面を思わせる粗い下地に落書きするかのように掻き削った新たな抽象絵画の試みを始めました。批評家のミシェル・タピエは、彼ら3人を先駆とする奔放な絵画をフランス語で 「不定形なるもの」 を意味する 「アンフォルメル」 と呼びました。
<主な出展作家>
フォートリエ、デュビュッフェ、ヴォルス


第3章 戦後フランス絵画の抽象的傾向と「アンフォルメル」

第3章 戦後フランス絵画の抽象的傾向と「アンフォルメル」-戦後の美術がアメリカにその中心としての役割が移ってしまった、と捉えがちな現況を、戦後フランス美術史を見直すキーワードと言えるだろう。
タピエは1951年に、 「激情の対決」 展、つづいて 「アンフォルメルの意味するもの」 展、 「もうひとつの芸術」 展などを次々と開催。キュビスムと幾何学的抽象が、崩壊した古典主義の 「白鳥の歌」 に過ぎず、シュルレアリスムもロマン主義の文学的変種である、と糾弾し、ニーチェやダダだけが、今日受け継がれるべき遺産であると主張した。
<主な出展作家>
スーラージュ、マチュー、アルトゥング、ミショー、ポリアコフ、ド・スタール、リオペル、ポロック、ザオ・ウーキー、サム・フランシス、堂本尚郎、今井俊満、菅井汲



フランスの美術批評家 ミシェル・タピエ (1909-1987)

―彼ら3人を先駆する奔放な絵画をフランス語で 「不定形なるもの」 を意味する 「アンフォルメル」 という名前で呼びました。―

ジャン・フォートリエ (1898-1964)
1898年 パリに生まれる、10歳の時に母のいるロンドンに移住。ロイヤル・アカデミーおよびスレイド美術学校で学んだ。
1939年 第二次世界大戦が勃発、パリに戻り対ナチスのレジスタンス運動に参加。 「人 質」 シリーズを手がける。
1951年 自らが組織した 「アンフォルメルの意味するもの T」 展にフォートリエの作品は、紙や石膏で画面を盛り上げ、水性絵具で描く技法により、哀愁と物質の存在感を併せ持つイメージを特徴としている。アンフォルメルの先駆的存在として、同時代に大きな影響を与えました。
1959年 詩人ジャン・ポーランらとともに来日。南画廊で個展を開催し、以後日本の美術館などに重要な作品が収蔵されている。

ジャン・デュビュッフェ (1901-1985)
1901年 ル・アーヴルに生まれる、1918年にパリに出て、美術学校に通い翌年退学、以後独学で絵画制作を始める。
1943年 評論家ジャン・ポーランと出会い、彼を通して1941年に最初の個展がその画廊で開催される。
1945年 絵具に様々な物質を混ぜ、ナイフや指などで成型し、厚塗りシリーズを発表。既成概念に縛られない創造を目指す。
1956年 日本橋高島屋で開催された 「世界・今日の美術展」 に出品、当時の美術雑誌に掲載された。一見稚拙な落書きを思わせる画風が注目を集め、現代フランスを代表する画家として、早くから日本でその存在は知られていた。

ヴォルス (1913-1951)
1913年 ベルリンで生まれ、父親は法学博士で裕福な環境で育った。デッサウのバウハウスでパウル・クレーに師事した。
1932年 パリに出る。当初シュルレアリスム風の絵を描き、写真家として、1937年パリで写真展を催し、ヴォルスを名乗る。
1940年 第二次世界大戦が始まると収監され、収容所を転々とするが、フランス国籍の女性と結婚、収容所から開放される。
1945年 ルネ・ドルーアンの目に留まり、その画廊で個展を開催。不安定な生活と精神状態のなかで、内面世界を抽象形態に託して描かれた作品は、サルトルやマチウ、フォートリエ、そしてタピエを惹きつけ、アンフォルメルの先駆的存在のひとりとして位置づけられた。
1951年 食中毒にかかり38歳で早世。1950年代、岡本太郎、瀧口修造らのテキストで言及される。1964年南画廊で個展。
タピエは、新しい抽象を論じるためには、新しい美学が必要であると考えはじめた。そこで当時、ユークリッド幾何学に代わる新しい概念として注目されていた位相幾何学(トポロジー)などを援用し、あらゆる思想や形態の可能性を孕んだ未分化な状態を 「アンフォルメル(不定形なるもの)」 と呼んだ。 
   ―「戦後フランスの新しい抽象絵画の興隆とアンフォルメル」 石橋財団ブリヂストン美術館学芸課長:新畑泰秀・他―

アンフォルメルは、日本においては、1950年代以降、海外の美術動向がジャーナリズムを通じて様々に伝えられるなかで、1957年に、タピエやマチューが来日し、公開制作をはじめとして日本の美術批評家や作家たちと交流することにより一気に広まっていきました。石橋財団ブリヂストン美術館においては、タピエの協力により 「世界現代芸術展」 を同年秋に開催し、これは、日本へのアンフォルメルの紹介に大きく寄与しました。その後、美術界は 「アンフォルメル旋風」 がまきおこり、フランス本国以上に、戦後の抽象絵画運動として現代に至るまで知られることになりました。


お問合せ:03-5777-8600 (ハローダイヤル)
美術館サイト:http://www.bridgestone-museum.gr.jp/
主催
:石橋財団 ブリヂストン美術館
後援:フランス大使館


参考資料:Press Release、「アンフォルメルとは何か?」カタログ他。
※写真撮影は全て、主催者の許可を得て行っております。


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